ニュースの概要
ローソンは10月19日から順次、人気YouTuberのきまぐれクックが監修した商品を含む計12品を全国の店舗で発売する。弁当、おにぎり、惣菜、麺類、冷凍食品、菓子と売場をまたぎ、魚介の旨みを共通の軸に据えた構成だ。冷凍食品では、海老とキャベツを使ったお好み焼に、韓国料理のカンジャンケジャンをイメージした魚介系の特製ソースを合わせた一品を、10月27日に税込み416円で発売する。動画で支持を集める料理家の発想を、日常的に立ち寄る店舗の棚へ広げる取り組みである。冷凍の発売日が他の商品より後ろにある点も、売場ごとの準備の違いを映している。
引用元: ローソン、きまぐれクック監修の商品12品を発売、冷凍食品で魚介メニューを強化(食品産業新聞社ニュースWEB)
分析・見解
魚介の旨みを軸に売場をまたぐ12品の狙い
今回の特徴は、一品だけの話題づくりではなく、弁当から菓子まで一つのテーマで通した点にある。テーマは魚介の旨みだ。魚介は調理の手間やにおいが気になり、家庭では敬遠されやすい食材でもある。それを店で手軽に買える形にすることにも需要がある。客は店内を歩くうちに、同じ監修者の名前を何度も目にする。個々の売上よりも、店全体で印象を残す設計と読める。
従来のコンビニの有名人コラボは、人気店や芸能人の名を一品に冠する形が多かった。動画投稿者の場合は、作り方や味の狙いがすでに動画で語られている。店頭で説明を足さなくても、買う理由が客の側にできている。ここが大きな違いである。
冷凍お好み焼きは、ソースで個性を出す商品
冷凍の目玉は、海老とキャベツのお好み焼だ。そこにカンジャンケジャン(=カニを甘辛いしょうゆ系のタレに漬けた韓国料理)をイメージした魚介系ソースを合わせる。粉ものの生地は他社と差がつきにくい。味の印象はソースで決まりやすく、個性をソースに集めるのは理にかなっている。
税込み416円は、軽食としては手に取りやすい価格帯だ。外食の一品より安く、家で手軽に楽しめる。一方で、ソースに凝る分だけ、原価の管理は気になるところだ。
冷凍だから監修の味をそろえやすい
冷凍は、監修者の味を全国の店舗でそろえやすい。工場で作って凍らせるため、店ごとの調理の差が出ない。電子レンジで温めるだけで済むので、夜遅くに帰宅した人や一人暮らしの人にも向く。弁当や惣菜は日持ちが短く、話題が先行して作りすぎると廃棄につながる。冷凍は、そのリスクを抑えながら人気の商品を試せる器になる。
冷凍の発売日が10月27日と、他の商品より後ろにある点も見逃せない。理由は公表されていないが、製造や凍結、配送の段取りを考えれば、準備に時間がかかると見るのが自然だ。
話題のピークが過ぎた後に何が残るか
最も難しいのは、動画の話題が落ち着いた後である。弁当やおにぎりは日々の需要に支えられるが、冷凍は「買い置き」の商品だ。発売直後に買い込まれても、その後の動きは読みにくい。味が良く、家で調理しても満足できなければ、二度目の購入にはつながらない。
スーパーの冷凍棚では、定番のお好み焼きや餃子が値引きで競うことが多い。コンビニは値引きで勝負しにくく、その分「この人が作った味」という理由づけが価値を支える。リピートを左右するのは、監修者の名前より、食べた後の「また食べたい」という感想である。コラボの価値は、最終的にその一点で決まる。
ビジネスへの影響
冷凍食品メーカーと小売が先に確認したい三点
著名な監修者と組む商品では、先に決めておきたい点が三つある。第一に、味の軸を一つに絞ること。今回なら魚介の旨みだ。第二に、再現できる範囲を見極めること。監修者の理想の味と、工場の設備や原価の間には必ず差がある。第三に、販売数量の幅を見込むこと。話題の初週と二週目以降では、売れ行きが大きく変わる。
特に数量は、最初から多めに作りすぎないことが大切だ。冷凍は保存が利くとはいえ、冷凍庫の容量には限りがある。売場の棚と、倉庫の庫内の両方を数字で押さえておきたい。
価格と原価をどう組み立てるか
416円という価格を参考に、自社商品の原価を逆算してみるとよい。小売の取り分、物流費、包装費を引くと、材料に使える額は意外と小さい。そこでソースのような味の決め手に原価を集め、生地や具材は標準的な仕様で抑える手がある。海老のような値動きの大きい材料は、代替の仕様も用意しておくと安心だ。試作の段階で、冷凍と解凍を経た後の食感も確認しておきたい。
一過性で終わらせないための準備
話題のあとに売上を支えるのは、味の満足度とわかりやすい調理表示だ。電子レンジの加熱時間や、パッケージの写真と実物の差には気を配りたい。監修者との契約では、販売期間や表示の使い方も事前に取り決めておく。購入者の感想を集め、改良か販売終了かを早めに判断する基準も決めておく。コラボを一度きりの花火にせず、次の商品開発の材料として使う姿勢が、費用対効果を高める。
