ニュースの概要

中国から輸入された冷凍食品で、食品衛生法違反の事例が相次いでいると報じられた。冷凍ブロッコリーでは、発がん性が指摘される農薬の成分が見つかったという。ミックスサラダ用の冷凍野菜では、加熱後に食べる食品としての基準を超える大腸菌群が検出された。報道では専門家が、冷凍野菜は弁当や外食、家庭の食卓で日常的に口にする機会が多いと注意を促している。輸入時の検査は届け出られた貨物の一部を抜き取って行うため、すべてを調べているわけではない。違反の発覚は氷山の一角ではないかという見方もあり、食品事業者の仕入れ管理に注目が集まる。

引用元: 中国産「冷凍食品」で食品衛生法違反事例が続発 ブロッコリーやミックスサラダから発がん性指摘の農薬や大腸菌群が検出 専門家は「日常的に口にする機会は多い」と警鐘(マネーポストWEB)

分析・見解

違反が見つかるのは検査の網にかかった一部だけ

輸入食品の検査は、全量を調べる方式ではない。国は過去の違反実績や産地、品目の傾向から、検査を強める対象を決めている。違反が出た品目や製造者は検査の頻度が上がり、続けて違反すると輸入そのものが止まる仕組みもある。

今回のように違反が続けて報じられるのは、実態が急に悪化したからとは限らない。過去に違反のあった品目へ検査を集中させた結果、見つかる件数が増えた面もある。逆にいえば、検査を受けていない貨物の中に、同じ問題を抱えたものが混じる余地は残る。数字の増減だけで安全かどうかを判断するのは危うい。

農薬と大腸菌群は原因も防ぎ方もまるで違う

二つの違反は、同じ冷凍野菜の問題でも性格が異なる。残留農薬は畑での使い方の問題だ。収穫前に散布してよい時期や量を守らなかったり、国ごとに許可された農薬が違うことを把握していなかったりして起きる。日本には、使用を認めた農薬以外は一律の低い基準を適用する制度(=ポジティブリスト制度)があり、輸出国で合法でも日本では違反になる例がある。

大腸菌群は工場側の衛生管理の問題である。洗浄水の管理、加熱殺菌の不足、作業者の手や器具を介した汚染が主な原因になる。ただしこの指標は、必ずしも病原菌そのものを示さない。衛生状態の目安として使う菌群であり、基準超過は工程が管理から外れた合図と読むのが適切だ。

冷凍だから安全という思い込みが落とし穴になる

冷凍は菌を増やさない技術であって、菌を殺す技術ではない。マイナス18度以下では増殖がほぼ止まるが、もとから付いていた菌は生き残る。解凍して常温に置けば、再び増える。

特にサラダ向けの冷凍野菜は、ブランチング(=短時間の湯通し)が弱い、あるいは行われない品目もある。加熱せずに食べる前提の使い方が現場に広がると、リスクは一気に高まる。パッケージの「加熱して調理してください」という一文が、売り場や厨房で読まれていないことも多い。

国産回帰は進まず、コストと安全の両立が課題になる

冷凍野菜の国内消費は輸入に大きく頼っており、中国産は価格面で簡単には置き換えにくい。国産は原料価格が高く、年間を通して同じ品質と量をそろえることも難しい。このため、産地を切り替えるだけでは解決せず、どの工場のどの工程を信頼できるかを見極める力が問われる。

今後は、輸入者が現地工場へ自ら監査に入る動きや、ロットごとの検査成績書を契約に盛り込む動きが強まるだろう。安さの裏にある管理コストを、価格にどう織り込むかが業界全体の論点になる。

ビジネスへの影響

仕入れ契約に検査と記録の条件を書き込む

外食、中食、小売で冷凍野菜を扱う事業者は、仕入れ先の産地名だけで判断しないことが大切だ。製造工場名、ロット番号、検査成績書を納品時に添付してもらう条件を契約に入れたい。違反が報じられた品目は、自社の在庫に同じ製造者のものがないか、すぐ照合できる体制が必要になる。

数量が少なく、検査を外部に出せない小規模事業者は、卸売業者や商社に検査実績の開示を求めるだけでも効果がある。

受け入れ時の温度確認と表示の再点検

納品時には、庫内温度の記録、霜や氷の付き方、袋の破れを確認する。一度解けて再凍結した形跡は、品質低下だけでなく菌増殖の手がかりになる。加熱前提の表示がある商品は、そのとおりに調理する手順を厨房で徹底し、サラダへの流用を禁止しておく。

万一の回収に備え、仕入れロットと販売日の対応が追える記録も欠かせない。回収時に追跡できる事業者は、信頼を守りやすい。

安さだけでなく説明できる調達へ切り替える

消費者の関心は産地だけでなく、管理の中身に向かっている。価格を数円抑えるよりも、検査の根拠を説明できる調達のほうが、事故時の損失を小さくする。複数の産地と仕入れ先を持ち、一社に偏らない体制も、供給停止への備えになる。

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